日本異端・カルト対策キリスト者協議会について

日本異端・カルト対策キリスト者協議会(以下、JECACと表記)は、福音主義に立ちつつ、キリスト教の異端・カルト問題に重荷を持つキリスト者によって設立された協議会です。本会は会員による異端・カルト問題の情報交換、研修、情報発信を目的とする交流機関であり、相談機関ではありません。

代表挨拶

 みなさんは「異端・カルト問題」についてどのくらい関心を持っておられるでしょうか。このホームページをご覧いただいている方は関心を持っておられることと思います。しかし、多くの方は自分とはあまり関係がない、言わば、対岸の火事のように思っているのではないでしょうか。けれども、実際にはもうこちら側にまで燃え広がっているのです。
 例えば、皆さんは韓国のキリスト教界において異端・カルト問題がどれくらい深刻かご存知でしょうか。2010年6月6日号のクリスチャン新聞によれば「韓国には自分が再臨主だと主張する教祖が50人おり、キリスト教系異端・カルトの教勢は少なくとも200万、最大で300万と推定される。これは、キリスト教人口の約4分の1に相当する。」と言われています。これは驚くべき数字ではないでしょうか。少なく見積もっても「自分はクリスチャンです」と言う4人に1人は異端。それが韓国の現実です。韓国の全人口は約五千万人ですので、人口の約4~6%が異端という計算になります。
 では、日本の場合はどうでしょうか。日本におけるキリスト教3大異端の世界平和統一家庭連合(旧統一教会、通称家庭連合)、末日聖徒イエス・キリスト教会(通称モルモン教)、ものみの塔聖書冊子協会(通称エホバの証人)の公称信者数を調べてみると、家庭連合が56万人1、モルモン教が約128,132人2、エホバの証人が211,494人3で、その合計は約90万人です。『宗教年鑑令和2年版』は正統的な教会も異端も全て含めたキリスト教系の宗教人口を1,909,757人と発表していますが、それと比較すれば、三大異端だけでも日本におけるキリスト教人口のほぼ半分の割合に相当します。
 この割合だけを見れば、日本で「自分はクリスチャンです」という2人に1人が異端というのが現実です。この割合は韓国よりもはるかに深刻です。しかも、正統的な信仰を持つ日本のクリスチャンの人口は韓国のキリスト教系異端・カルトの人口の半分にも満たないのです。この状況を皆さんはどのように考えるでしょうか。私たちは現状認識を改めないといけないのではないでしょうか。
 さらに、今日、日本において一般の人々が御言葉に触れる機会について考えると、驚くべき事実が浮かび上がります。先ほど、日本では2人に1人が異端という現実であることを指摘しました。ということは、正統的な教会も異端の群れも同じように宣教していると仮定した場合、一般の人々がどちらの側の宣教によって御言葉に触れることになるかは、五分五分の確率になるのです。そして、もしプロテスタントに限ればその比率は完全に逆転し、そこから福音主義に立つ群に絞ればさらにその差は大きくなります。
 実際に私の知り合いにも異端に入っていた友人を通して御言葉に触れた人がいます。その人の場合は、その友人からコンタクトを受けていた時にある正統的な教会の看板の御言葉にも目を留める機会がありました。その看板を見ている時にちょうど教会から人が出てきて声をかけられ、それをきっかけにしてその教会の牧師と知り合うことになりました。そして、その教会で聖書の学びをし、信仰を持つようになりました。
 私の知り合いの場合は、まだコンタクトを受けて日が浅かったことも幸いして、教会の看板によってその後の歩む道を変えることができました。しかし、異端の群れを通して御言葉を聴く人の中には、御言葉に触れながらも聖書が教える救いに至ることができないだけでなく、偽の福音の宣教のために働かされたり、人を騙すために利用されていく人がいるのです。
 異端・カルト問題を対岸の火事のように思うのは、異端・カルト問題に対するイメージが20世紀のイメージのまま固まっているからかもしれません。20世紀における異端と教会の接触は、三大異端の名前とその教えを何となく知っていれば、たとえ異端との接触があったとしても、きっぱりとその後の接触を断れば距離を置くことができました。
 しかし、21世紀の異端はそうはいかないのです。こちらの意思に関係なく、異端とは知らないままにいつの間にか接触し、人間関係を築かれ、取り込まれる危険があるのです。
 そして、狙われるのは個人だけではありません。21世紀の異端は、恣意的聖書解釈から教会自体を意図的に布教対象とし、高度に訓練された偽装技術と強い意識をもって潜入する布教戦略を開発し、それを実践しています。
 インターネット布教もさかんになされ、キリスト教の用語を検索してヒットするページの多くが異端のサイトです。インターネット布教は簡単に国境を超えるので、例えば、ある国の異端のサイトが異端とは思われずに在外邦人クリスチャンによってシェアされ、日本のクリスチャンに届く、というようなことが容易に起こります。情報の信憑性を考えずに気軽にシェアすることで、知らないうちに異端の布教活動に一役買っていたり、SNSの面識がない「友達」が実は異端という可能性はあり得ない話ではなくなっています。
 もはや私たちのほうで異端とは関係を持たずにいれば大丈夫という時代ではなくなりました。20世紀の異端のイメージのままでは、教会は新しい異端の接触に対して予防線を張ったり、実際に侵入されたりすることを防ぐことができません。21世紀の異端・カルト問題はすでに別次元に突入しています。ですから、私たちも異端・カルト問題に対する認識と対策をアップデートすることが必要なのです。
 みなさん、いかがでしょうか。今日、異端・カルト問題はもはや対岸の火事ではありません。私たちは、今こそ、「人に惑わされないように気をつけなさい。」(マタイ24:4)という主イエスの御言葉にどのように応答するのか、問われているのではないでしょうか。
 JECACの働きが主イエスの戒めに対する誠実な応答のために用いられることを願っています。

日本・異端カルト対策キリスト者協議会

日本福音キリスト教会連合 結城福音キリスト教会牧師

代表 飯田勝利

 1  公益財団法人国際宗教研究所・宗教情報リサーチセンターの「教団データ ベース」に掲載されている同教団のページに記載されている信者数。更新年2015年。アクセス日2021年8月20日。

 2  文化庁編『宗教年鑑 令和2年版』p84~85。アクセス日2021年8月20日。

 3  エホバの証人公式HPの「2020年 国や地域からの報告」に掲載されている日本における「2020平均伝道者数」。アクセス日2021年8月20日。

本会設立の経緯について

本会は、2013年4月に、韓国のキリスト教異端について韓国から専門家を招いて学んだ時に、この交わりを継続していくことを申し合わせて誕生しました。2013年9月には第1回の集まりが持たれ、それ以来、基本的に春と秋に協議会を開いて学びと交わりの時を持っています。

本会ホームページについて

これまで私たちはキリスト教の異端・カルト問題について学んできました。このホームページは私たちが学んできたことの一端を分かちあうために設置しました。

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info@jecac.org